偶像と恋した貴方

 

 

偶像(ぐうぞう)


・神や仏などの存在をかたどって造られた像で、かつ崇拝の対象となっているようなもののこと

・なお、この偶像idolが転じて、現代英語のidolの用法や、様々な経緯を経て現代日本語の「アイドル」の用法が生まれた

 

 

恋愛(れんあい)

 

・特定の相手に対し、性的欲求を含んだ信頼関係を持ち、お互いを特別で大切に思うこと、もしくはそういう関係になりたいと願うこと、それら一連の気持ちやそれに付随する行動などを指した概念。

 

 

 

 

 

 

偶像と言うのは、言うならば神様の様な存在で、決して手が届かないもの。アイドルとは偶像。アイドルも決して手が届かなくて、プライベートも私達は(知ろうとしなければ)知る事はないし、ステージに立つ彼等(ないしは彼女等)はキラキラ輝いていて、綺麗で、どす黒い人間らしい感情など見る事がないし、できない。

私にとっての丸山隆平は偶像である。ステージの上でおちゃらけて、笑って、歌って踊って演奏して。36歳のおじさんが、夢と希望と愛を、関ジャニ∞と言うフィルターを通して届けている、完璧な偶像である。時たまチラッと聞いてしまう彼のプライベートも、真偽を確かめる術がないので虚空に散るし、本当は私達が思っている様な人ではなくて、私達を欺いていたとしても、知らぬが仏。彼を偶像、と捉える私達には関係のない事なのだ。だって彼は偶像で、彼を慕うのは私達の自己満足で、彼からは私達の事なんて1ミリも見えていないし、こちらが勝手に生きる糧にして勝手に好きだと言っているのだから。目に映るものだけを信じれば自分は幸せなのである。

そんな一方通行の関係でも、彼がステージに居たから出来た友達や、彼に憧れて始めたベース、彼が歌う歌、全て大切な思い出や宝になっているのだから、彼は凄い。これはどのアイドルにも言える事なので、もちろん貴方も、凄い。

 

 

私が恋した貴方はアイドルだった。…アイドルだったのに恋してしまった、の方がしっくり来るかな。いつの間にか、偶像として貴方の事を見る事が出来なくなった。ステージの上で笑って、かっこつけて、歌って踊って演奏して、2○歳の貴方は、夢と希望と本当の意味での愛と、恋愛と言う概念を私に届けてしまった。プライベートや、本当の名前、過去の事、貴方が今思っている事、嫌いなアイツの事、大好きなあの人の事。全て恋した貴方の口から聞いてしまった。強くて皆を守るヒーローみたいな貴方ではなくて、本当は弱くて脆くて繊細で、人一倍不器用な、そんな貴方を見つけてしまった。貴方からも私の事はハッキリと見えているし、私の悪い所も人には言えない事も黒い感情も、全部伝わってしまう。目に映るものだけが真実では無くて、見えない所で私と貴方は繋がっていると錯覚させてしまう、そんな距離。

 

 

偶像と恋した貴方、文字や言葉にしてしまえば同じ“好き”でしょ。私は丸山隆平の事が好きだし、三笠エヴァの事が好き。だけどこの好きと言うのは両極端の“好き”であって全く違うもの。私が丸山隆平の事が好きだと言えば「三笠はどうした?」とみんなに言われるし、私が今貴方に会いに行く頻度が落ちた事も彼のせいになる。本当はそうではなくて、貴方と私を取り巻く環境や、置かれている状況がなんとなく辛くて、会う、と言う行為が不毛な気がしてしまって(そんな事ない事は理解したのでお気になさらず!)、只距離を置いていただけで。距離を置くと時間が出来る、時間が出来ると出来る事が増える。だから今度は偶像としての彼の事も好きと言える余裕が出てくる、只それだけの事なのに。多分、貴方からしたらどの好きも好きは好きで、私だけを好きで居て欲しい!と思うだろうけど、私からしたらいつか彼等のコンサートに一緒に行けたらいいね、そんな感じなんだよ。

 

貴方がアイドルではなくて、丸山隆平がアイドルで、だとか、そう言う事じゃなくて。貴方も彼もれっきとしたアイドルで、偶像になるべく存在なのは間違いなくて。只、私が距離感や感情を間違えてしまっただけ、ちょっとだけ知りすぎてしまっただけ。この感情は、こうやって文字を経由して、お金を経由してでしか貴方に届ける事は出来ないけれど、そうなるべくして出会ってしまったのだから、それもそれで仕方がない、よね。

 

 

偶像と恋した貴方。

どっちを信じれば幸せになれるかな。