激情

 

「足下を見れば、いつだってそこがスタートライン」

 

 

はじめてこの言葉を聞いた時の衝撃、あの時フロアから見たステージの光景はずっとずっと忘れないと思う。

 

漢字ばかりで威圧的なグループ名、どんなコンセプトでどんなことをやっているグループかも全く知らなくて、お目当てのグループの出番が彼女達の2つ後だったから、たまたま端の方で眺めていただけ。

爆音で会場に響き渡るロックサウンド、「苦手だな」と思った。ロック、全く聴かないし、アイドルサウンドしか好きじゃない。なんだかオタクも怖そうだな、端っこの方に逃げておこうって上手のいちばん端で1人で地蔵して立ってた。

セットリストの順番までは覚えていないけど、なんとなく披露した曲は覚えてる。それまでぼーっとステージを見てた私が、ハッと顔を上げたのは曲間のMC。ロングヘアの、小さくて華奢な女の子が叫んでた。

 

「足下を見れば、いつだってそこがスタートライン」

「今、あなたが諦めてしまった夢」

「あなたが1歩を踏み出せば世界は変わる」

 

華奢な身体から発せられる色んな色の言葉が私の心にありえないくらいの重さでのしかかって来た。ずっとずっとやりたい事は心の中にあったのにいろんな理由を付けて諦めて、つまんない人生送るしかないかなって悩んでた最中だったから。相変わらず地蔵だったけど、気づいたらライブを見ながら泣いていて、彼女達の出番が終わった後もしばらく余韻で動けなかった。こんな出会い方、はじめてだった。

 

ステージに立つ彼女達は確かにキラキラ輝いていて、本気で。(良い意味で)圧がすごい、と思った。こんなにガチでステージからの言葉を受け取ったの、多分あの会場で私ぐらいだったんじゃないかなって思うけど、でも、それだけ私にとっては救いのライブだった。私はガチだよ。

 

 

毎月毎月ありえない数のライブ数をこなしてる彼女達からしたら、その月数十本あるライブの中のひとつで、誰かのために…とか考えてなかったかもしれない。でもそのひとつひとつに出会いがあって、私みたいにあなた達の言葉で、歌で、救われて、人生が変わってしまう人が居るって事も ちゃんと覚えていて欲しいな。

 

正直、対バンのライブでお目当てのグループ以外にときめいた事が今までなくて、こんなにライブが印象に残って、そのまま1人で特典会まで行ったのははじめて。自分でもびっくりしたし、周りからも「どうした?(笑)」って笑われたけど。あの20分とかそこらの短い時間の中で心を動かされて、直接伝えたい!話したい!って思わせる事が出来るって、凄いことだよ。ね。だって私には輝いて見えてしまったんだもん。

口下手で普段は何も言えない私が「ライブが良くて、泣きました」って、多分、推しメンの話ぶった切って(今思うとそれはごめん)声を出してた。「え~!泣いたの!?」って笑って、「うちらのライブ、好き嫌い別れるから嬉しい!」って言ってくれた推しメン。好きも嫌いも本人にそんなに伝わるのか…ってびっくりしたけど、なんかもう、それだけ言ってあとは「あっ、」とか「いや…」とかしか言ってなかった気がする。あなたとはじめて話した日の事、一生覚えてるよ、推しメン!キモイね。

 

 

とにかくその日は、私にとって運命的な日になった。偶然かもしれないけど、偶然も運命って呼んでもいいよね、いいよ。運命だったよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり私は私がやりたい事をしたい!